みなさんはプエルトリコという国をご存じだろうか。名前くらいは聞いたことがあるだろうが、その場所も主要産業も知らないという人がほとんどだろう。しかしこの国を覆いつくす貧困の闇は深く、多くの住民が不自由な暮らしを強いられる。
この国の貧困の実情は、先進国アメリカによる搾取の歴史そのものだ。実態に深く迫っていこう。
プエルトリコの貧困問題
カリブ海に浮かぶ小さな島国プエルトリコ。その大きさは四国の半分ほどで、人口は400万人に満たない。プエルトリコは一応国という体裁をとっているが、完全に独立した国ではない。アメリカの自治連邦区という関係で、簡単にいえば属国だ。
プエルトリコの人々はアメリカ国籍を持つが、大統領選挙権は持たない。一応は独自の憲法を持っており、かつては独立運動も盛んだった。しかし今ではそんな機運はない。プエルトリコは属国として生きていく道を選んだ。
この国は漁業以外に産業と呼べるものが存在しない。国全体に仕事がないのだから、人々の多くは貧困層となる。なんと7割の世帯が生活保護を受けており、社会福祉のために財政は圧迫される。
生活保護を受けていないわずかな人々は、アメリカへの出稼ぎ収入で成り立っている。米国企業の工場がプエルトリコに建てば、人々は低賃金で搾取される。これが属国の悲惨な運命だ。
そんなプエルトリコの中でも如実な格差の実態がある。アメリカでのビジネスに成功した人などは大豪邸を建てて優雅な南国暮らしを満喫する一方、スラム街の暮らしは想像を絶するレベルだ。特にラ・ペルラという地区は酷い。
ラ・ペルラの生活と犯罪
プエルトリコ北部の海岸沿いに広がるラ・ペルラは、治安が世界でも最悪クラスのスラム街だ。その要因はヘロインとマフィア。米国本土では取り締まりの厳しいヘロインが、マフィアによってこの国のスラム街で取引されているのだ。
大金を生み出すヘロインを巡り、マフィア同士の抗争は絶えない。比較的平和なプエルトリコにおいて、殺人事件のほとんどはラ・ペルラで起こり、頻繁にスラム住民が流れ弾で死亡する。
マフィアが暗躍するこの場所には、警察も怖がって滅多に入ってこない。そうなれば無法地帯の出来上がりだ。スラム内の商店には強盗が入り乱れ、殺人やレイプなどの凶悪犯罪も日常茶飯事。
感染症の知識もほとんど持たないスラム住民の間ではエイズが蔓延。下水道の処理もロクにされないため、コレラなどの伝染病も蔓延している。新生児死亡率はアフリカ並みだし、平均寿命も驚くほど短い。
生活保護に頼って堕落した人々は日中からダラダラと過ごし、粗悪なドラッグに手を出して廃人になる。プエルトリコの街を歩けばそんなドラッグ廃人の物乞いを多く見かける。
こんな場所に日本人の観光客が立ち入ればどうなるか。財布やスマホを盗まれるだけなら良いだろうが、麻薬中毒者に勢いで殺される可能性も高い。くれぐれも近づこうとは思わないほうがいい。