ブラジルの凶悪麻薬スラム街ファヴェーラの実情を知る

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日本から遠く離れたブラジルという国。「なんとなく危険そう」くらいのイメージしかない人も多いことだろう。しかしここにも知っておくべき深刻な貧困問題が存在する。その舞台がファヴェーラだ

ファヴェーラはどのように形成されていったのか。そして住民はどのような生活を送っているのか。実情に深く触れていきたい。

ファヴェーラの成り立ち


by dany13

ファヴェーラとはブラジルにおいてスラムを意味する言葉ある程度の規模を持つ都市には必ず存在し、ブラジルを語るうえで決して避けることのできない重要な部分だ。リオデジャネイロの人口の4人に1人はファヴェーラの住民と言われるほどその規模は大きい。

ファヴェーラの歴史は100年以上前に起きた内戦に始まる。政府軍は反乱軍を鎮静化させるため、元奴隷の黒人を徴用した。内戦終了後に黒人達は大都市に住むことを許されたが、住居は与えられなかった。

そこで黒人たちは山の斜面を不法占拠する形で居住を始める。当時は都市人口もそれほど大きくなく、斜面の生活に不向きなエリアなどは完全な未開拓だったのだ。

始めは元奴隷黒人だけの街だったファヴェーラには、都市部の家賃高騰によりはじき出された人々が住み着くようになる。こうして出来上がったのが巨大スラムとしてのファヴェーラだ

ファベーラの生活

現在のファヴェーラは日本人がイメージするスラムとはかなり違った印象だ。なにしろリオデジャネイロ市民の4人に1人が暮らす場所。それほど荒れ果てて危険というわけにはいかない。

しかし山の斜面に小さな家が密集しているため歩くのは大変だし、基本的に不法占拠された場所なので公共サービスを受けるのは難しい。電気はほとんどが盗電で、生活用水は給水車からの配水に頼る。

ゴミ収集が一切行われない地域もあるということで、衛生面でも多大な問題を抱えていることは確かだ。

ファヴェーラに蔓延る犯罪


by André Gustavo Stumpf

一見すると平和な街のように思えるファヴェーラにも裏の顔がある。その一番の原因はドラッグだブラジルではコカインがマフィアやギャングの莫大な資金源となっている。その主要な取引先、取引場所がファヴェーラなのだ。

大金が絡むドラッグの取引や権利をめぐり、ギャング同士の抗争は頻発するファヴェーラ内では昼間でも銃声が聞こえることが珍しくなく、住民は流れ弾の危険性を熟知して生活する。

ファヴェーラ内の若者は金を求めてギャングに入り、コカインの取引は終わることがない。ギャング同士の抗争に警察の出る幕はなく、ファヴェーラ内の治安が守られることはない。殺人があっても公になることはほとんどない。

ギャングメンバーは銃火器で武装しており、ファヴェーラ内で強盗やレイプが行われることも珍しくない。特に夜間は住民でも外出を控えるという。

一見すると安全そうだからといって、安易に旅行者が立ち入るなんて自殺行為。かなりの確率で人気のない場所に連れ込まれ、銃を突きつけられるだろう。有り金すべて置いていけば命は助かるだろうが、少しでも抵抗すれば容赦なく殺される。

ファヴェーラを描いた映画

ファヴェーラはハリウッドから大人気のスラムだ。「シティオブゴッド」「ファベーラの丘」「バス174」など名作が連ね、どれもギャング同士の緊迫感あふれる戦闘シーンや、ドラッグをめぐる大金の取引などがリアルに描き出されている。

特にファベーラの丘はしっかりとブラジルの貧困問題を知りたい人におすすめの作品だ。ドキュメンタリーなので過激な戦闘シーンを求める人には退屈だろうが、現実とは本当に退屈なもの。何百年も同じ日常に苦しんでいる人達がいるのだ。

ファベーラには貧困、ドラッグ、ギャングなどの問題が入り交じり、ブラジルという国家の力ではどうしようもない現状がある。各国のNGOが入って改善されつつある部分も存在するが、根本的な解決には遠い道のりが続く。

繰り返すがファベーラは旅行者が気軽に入る場所ではない。友達に「スラムを歩いたけど平気だった」などと自慢したいだけなら絶対にやめてほしい。それは自身の安全の問題だけじゃない。貧困地域に住む住民は動物園の動物じゃないのだ。