コンゴの黒魔術スラム街キンシャサの悲惨な実情を知る

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中央アフリカのコンゴ民主共和国という国。日本人にとってこれほど心理的距離間のある場所は他になく、旅行で訪れる人も皆無。ただ「貧しそうな国」というイメージしかない人がほとんどだろう。

そんなイメージを裏切ることなく、この国が抱える貧困の闇は根深く、何世代にもわたって解決の糸口すら見つからない。コンゴの首都キンシャサは、町全体がスラムといってもいいくらい荒廃した場所だ。その悲惨な実情に深く迫っていこう。

コンゴ民主共和国の貧困問題


by Oxfam East Africa

コンゴの負の歴史は植民地支配の時代に始まる。コンゴの国土は1885年に、ベルギーの国王レオポルト2世の私有地とされ、この場所にはベルギー政府の影響さえ及ばなかった。コンゴとその住民は、国王の個人的な所有物とされたのだ。

現地住民は奴隷として強制労働を強いられ、従わなければ即座に殺された。たとえきちんと働いていても、収穫量が十分でなければ手足を切り落とすなどの罰が与えられた。この様子は当時の植民地主義が当たり前の欧米でも、残忍すぎると問題になったほどだ。

1950年頃からは独立のための内戦やクーデターが巻き起こり、たくさんの血が流される。苦労して勝ち取った独立後も、案の定支配者は独裁者となり、市民は苦しい暮らしを強いられる。

相次ぐ内戦で国内のインフラは破壊しつくされ、国内産業など無いも同然。当然ながら外国企業の参入など無く、コンゴ国内の経済活動は壊滅的な状態となる。

慢性的な失業状態と、高いインフレ率により生活に貧窮する市民が続出。こうして中央アフリカ最大の都市キンシャサは、徐々に荒廃したムードに覆いつくされていった。

キンシャサスラムの生活と犯罪


by Julien Harneis

キンシャサでまともな職に就いている人は数少ない富裕層だけだ。多くの貧者は工場などでの肉体労働にすらありつけず、ゴミ拾いや靴磨きなど最低レベルの仕事で小銭を稼ぐ。

まともな家賃など到底払えない貧困層は、川沿いやゴミ捨て場周辺を不法占拠。掘っ立て小屋には上下水道などもちろん存在せず、住民の糞尿は垂れ流し状態だ。当然のことながら伝染病が蔓延し、新生児死亡率も驚異の水準。

悲惨なことにこの国の警察は完全に腐敗しており、市民にとって決して頼れる存在ではない。逮捕を脅しに小銭をせびるだけの人種がコンゴの警察だ。役に立たない警察の代わりに、スラムの治安はギャングが握っている。

スラム内でのギャングの横暴はすさまじく、強盗や殺人、レイプなどの凶悪犯罪は日常茶飯事。特に女性の人権意識が皆無のこの国では、レイプが半ば当たり前の行為として行われている。

ギャングと同様にこの国を苦しめるのが黒魔術だ。伝統的な土着宗教はコンゴ国民に浸透しており、病気の治療にも黒魔術を用いる。そのため軽い病気でも人がすぐ死ぬし、子供が呪われたとして捨ててしまうことも多い。これがストリートチルドレンの増加につながっている。

ストリートチルドレンたちは飢えをしのぐためにスリや置き引きなどの犯罪に手を染め、しばしばギャングの道具として凶悪犯罪に使われる。

こんな場所に日本人の観光客が入り込めばどうなるか。運が良い人なら警察やギャングに金をとられるだけで済むだろう。運が悪ければそのまま死ぬ可能性すらある。外務省からもコンゴへの立ち入りは警告されており、訪れようなんて思わないほうが身のためだ。

コンゴの貧困を描いた映画

今後の貧困の実情に触れるなら、「魔女と呼ばれた少女」が秀逸だ。ここで描かれる貧困や黒魔術の描写はリアルそのもので、そこには誇張表現など一切ない。救いようのない現実を見せつけられ、ただ胸が痛むことだろう。

この映画をみればアフリカの貧困の根深さと、今なお植民地時代の負の記憶を引きずる現状が見て取れる。アフリカの貧困問題に関わりたい人なら必見だ。