中国のゲーム依存スラム街・三和地区の悲惨な実態を知る

経済発展の勢いが目覚ましい中国という国。農村と都市の格差は非常に大きいものの、治安の統制は比較的上手くいっている印象がある。しかしこの国には新しい形の貧困が浮き彫りになるスラムがある。

三和地区は現代のアヘン窟とも言われる最悪の場所。その実態に深く迫っていこう。

三和地区の成り立ち


by Scott Edmunds

三和地区は香港のすぐそば、深センの街の中心部に位置する。昔からこの場所には安宿が密集しており、農村部から出稼ぎに来た人などが多く住んでいた。周辺の物価は非常に安く、一食100円以下で食べられる食堂も数多い。

確かにこの場所は建物が非常に古く、街中にはゴミも多くて貧困街の様相そのものだ。しかしスラムとまでは言えず、ただの貧しい地区というのが一般的な認識だった。状況はオンラインゲームの爆発的な人気を契機に劇的に変わっていく。

オンラインゲームのせいでスラムが形成されるなんて、世界でも類を見ない例だろう。貧しい人たちはパソコンなんて持っていないはずだし、ゲームに熱中する時間があるなら働けばいい。そう考えるのが普通だ。

しかしオンラインゲームの魔力はすさまじい。ゲームにのめり込んだ人間は、現実世界のことがどうでもよくなる。最低限の生活すら営めていないのに、ゲームの中での充実のためにすべてを捧げるのだ。

三和のスラム住民は全員がネットゲーム中毒の廃人。彼らの生活の様子は本当にすさまじい。

三和スラムの生活と犯罪


by Ginny

三和スラム住民の合言葉は「1日働けば3日ゲームができる」だ。彼らの多くは親元を離れ、農村部から出稼ぎにきた人々。様々な事情で定職には就いておらず、日払いの肉体労働で生計を立てる。

働き先は電子部品などの工場で、彼らの日当は約1600円。日本で考えれば安すぎて生活など不可能だが、三和地区ならこれで十分。本当に3日分の生活費が賄えるのだ。

彼らはネットカフェに入りびたり、朝から晩までネットゲームの世界に入る。ネットカフェは24時間オープンで、パソコンの前の椅子で寝泊まりすることも可能だ。空腹を感じればゲームをしながらカップ麺を食べ、眠たくなればそのまま寝る。

スラム住民に毎月の家賃を払う金などないので、彼らの家はネットカフェになる。たまに余裕があれば安宿のドミトリーのような場所でも寝るし、金がなければ公園でも寝る。

彼らは貯金なんて概念すら持たず、その割にギャンブルが好きなので借金はよくする。スラム内には「女神」と呼ばれるストリートガールも存在し、一瞬の快楽のためにわずかな金を女性に捧げる。

現代の中国にこのような荒廃した生活が存在するなんて、信じられないという人も多いだろう。しかしこれが現実。デジタルの奴隷となり、自分の生活のすべてを捨ててしまう人間が数多く存在するのだ。

皮肉なことにオンラインゲーム内には「三和ゴッド」という言葉がある。三和地区の住民は膨大な時間をオンラインゲームに捧げるため、ゲーム内での立ち位置は神様そのもの。スラム住民がゲーム内ではヒエラルキーの最上位に君臨するのだ。

三和地区は他の一般的なスラムとは異なり、強盗や殺人などの凶悪事件とは無縁の場所だ。スリや置き引きなどの軽犯罪は起こり得るが、基本的に観光客が立ち入っても問題はない。

三和の貧困を描いた映画

NHK制作のドキュメンタリー作品「三和人材市場~中国・日給1500円の若者たち~」は彼らの暮らしをリアルに映した名作だ。ここで描かれる人間たちは私たちとも紙一重で、特別な人たちではないことがよくわかる。

くれぐれもオンラインゲームのやりすぎには注意したい。特にお子さんを持つ人ならパソコンやゲームとの付き合い方をしっかり教えてあげたほうがいいだろう。