カンボジアの殺人スラム街ホワイトビルディングの実情を知る

東南アジア諸国の中でも貧困のイメージが強いカンボジアという国。この国を襲った悲劇の歴史は世界中でも最悪クラスの虐殺劇。人々の暮らしはいまだにその悲劇を引きずっている。

ホワイトビルディングはそんなカンボジアにある最悪クラスのスラム。実情に深く迫っていこう。

ホワイトビルディングの成り立ち


by HRAMIREZ

ホワイトビルディングは元々、1960年代に建てられた集合住宅だった。当時のカンボジアにはこのような洋風建築は皆無で、これからのカンボジアを示す最新鋭の場所だった。そこにはアーティストや学者が住み、夢と希望に溢れていたという。

彼らの未来を木っ端みじんに破壊したのがポルポト政権による虐殺だ。原始的な共産主義に執着したポルポトは、知識層の人間を一人残らず殺害した。ホワイトビルディングの住民なんて、一番最初に処刑の対象になったのだろう。

そこで残されたのがホワイトビルディングという無人の建物。政府は長年にわたってこの建物の管理を放棄し、結果的に貧しい人たちが不法占拠して住み着くスラムとなった。

ホワイトビルディングの生活と犯罪


by Blemished Paradise

あまりにも凶悪な歴史を経験してきたスラム住民に、我々が持つ普通の感覚は一切通用しない。現地住民でさえ誰も近づかないその場所は、警察も立ち入らないため完全な無法地帯。実際にどれほどの犯罪行為が行われているかは誰にもわからないのだ。

住民のほとんどはまともな仕事になどついていない。それでも家族が生活をしているということは、違法な手段で金を得ているということだ。ホワイトビルディング周辺の路地裏では殺人事件も頻発し、そのほとんどが金目当ての強盗殺人だという。

スラム街となったホワイトビルディングでは上下水道など当然使えず、住民の糞尿は垂れ流し状態。衛生状態は常に最悪で、当たり前のように伝染病が蔓延。知識がないためエイズの感染者も多数いる。

彼らは過酷な暮らしから一時的にでも目をそらすため、粗悪で安価なドラッグを使用する。麻薬中毒で酩酊した人間はさらに善悪の区別をなくし、スラム内の治安を悪化させる。貧しいスラム住民同士のトラブルなど、想像しただけで地獄の光景だと理解できる。

そんな場所にもし外国人旅行者が立ち入ればどうなるか。運が良い人なら身ぐるみ剥がされて無一文になるだけで済むだろう。運が悪ければホワイトビルディングという地獄から天国へ飛び、遺体はゴミ捨て場に捨てられる。

ホワイトビルディングの変遷

プノンペンの劇的な発展からは長く置き去りにされてきたホワイトビルディング。しかしその流れも2015年頃から変化を見せ始める。観光客も多い中心地にこのような劣悪スラムが存在するのは確かに良くない。

2017年には政府と住民の間で補償の話が合意に至り、住民たちは多額の現金をもらってホワイトビルディングを後にした。こうしてホワイトビルディングの取り壊しと、新たな商業施設の建築が決まった。

多額の現金を得たスラム住民たちのその後は誰も知らない。その金で堅実なビジネスでも始めれば良いが、そんなハッピーなストーリーは絶対に用意されていない。借金をしていた闇金にすべて取り上げられるか、酒とドラッグに溺れてすぐに使い果たすくらい。だから貧困に出口はないのだ。

カンボジアの地獄を描いた映画


by David Russo

ホワイトビルディングそのものを描いた映画は見当たらないが、ポルポトによる虐殺の歴史なら多様な映画で知ることができる。特に1984年の「キリング・フィールド」は秀逸。

アメリカ人ジャーナリストの実話をもとにしたドキュメンタリーに近い映画で、リアルなカンボジアの空気感が伝わってくる。リアルすぎて吐き気を催す人も多いと思う。ご覧の際はお気をつけいただきたい。