日本人にとって最も親しみのある外国の都市といえばハワイだろう。南国の楽園は今でもハネムーン客に大人気。すべてが大らかでのんびりとしたハワイ生活にあこがれる人もいるかもしれない。
しかし天国のように思われるハワイにも、一歩踏み込めば深い闇が待っている。そこには解決が難しい貧困問題が蔓延しており、実際に苦しむ人たちがいる。ハワイのスラム街、チャイナタウンの実情に迫っていこう。
ハワイの貧困問題
南国の楽園ハワイは、人口当たりのホームレス数が全米ナンバーワンの場所だ。2015年の統計では人口140万人に対して、ホームレス数は実に7000人。人口比が0.5%ということは、ハワイの人の200人に1人はホームレスということ。
ちなみに日本のホームレス数は2016年で6000人ちょっと。人口比は0.005%だ。ハワイの0.5%という数字がいかに凄いか理解してもらえるだろう。
ハワイでホームレスが増加した要因は複数あるが、まずは世界的リゾート地としての開発が進んだ結果、住宅家賃が上昇したことが挙げられる。それに続いて行政からの住宅補助のような制度も縮小し、家賃を払えずにホームレスになる人が増えた。
もともと産業の少ないハワイの地では、高い所得を望めるような仕事に就くのは難しい。南国なので外で寝ても平気という背景もあるのだろう。そのようにしてホームレスの数は増え続けた。
ホームレスたちはチャイナタウン周辺に寄り添うようにして生活するようになり、一帯の治安が悪化していく。結果的にチャイナタウンはスラム街のような荒廃したムードに包まれるようになってしまった。
チャイナタウンと犯罪
いくら南国ハワイとはいえ、ホームレスに自給自足で生活することはできない。彼らの多くはゴミ拾いなどで最低限の生活費を手に入れて生きていくが、中には犯罪に手を染めるものもいる。
チャイナタウンで最も多い犯罪が観光客狙いの強盗だ。ハワイに来る日本人観光客などは危機管理の意識が低く、不用意に大金を持って歩いていたりする。簡単にバッグを奪えば10万円以上の現金が手に入ったりするのだから、こうした犯罪は後を絶たない。
すんなりと金を差し出せば危害を加えられることは少ないだろうが、抵抗すればどんな目に合うかわからない。ナイフや銃を持っていれば、それを突発的に使用する恐れがあるので、強盗にあったら決して抵抗してはいけない。
あとは大麻やドラッグの取引にもホームレスたちが大きく関与しているという。失うもののないホームレス達にとって、ドラッグを扱う恐怖心など全くない。麻薬中毒に陥るホームレスも多く、彼らのせいで周辺の治安はさらに悪化する。
ハワイのチャイナタウンは昼間に歩いても危険を感じるほどなので、安易に観光客が近づくのは決しておすすめできない。「スラムを歩いたけど平気だったよ」と友達に自慢したいだけの変質者は海外になど出ないほうがいいだろう。
それから海外旅行で開放的な気分になり、大麻が吸ってみたくなる日本人もハワイには多いようだ。そうして運悪く売人に接触した結果、偽警官なども出てくる大芝居の後、数十万円以上を支払うことになるケースが頻発している。
英語もロクに話せないような日本人観光客が、違法薬物の売人に接触するなど無謀すぎる。被害に合いたくなければやめておいたほうが身のためだ。