ホンジュラスの殺人スラム街サンペドロスーラの実情を知る

中米の国々は日本人にとって非常に馴染みが薄い。ホンジュラスと聞いたって、国のイメージは何もないという方も多いことだろう。実はこの国は世界最悪の治安を誇るスラム国。国自体がスラムといっていいくらい治安が悪く、外部からの侵入が警告されているのだ。

そんなホンジュラスの中でも最も凶悪な都市がサンペドロスーラだ。その悲惨な実情に迫っていこう。

ホンジュラスの貧困問題


by kristin klein

ホンジュラスという国は小国ながら、近年まで人々が平和に生活する豊かな土地だった。古来から鉱山で金が取れたことから国は栄え、一時は世界的にも重要な経済拠点の一つだった。

しかし金が掘りつくされてからは、輸出産品といえばバナナくらいしかない。昔はバナナだけでも人々は生活できたのだろうが、グローバルな資本主義の荒波にさらされれば、ホンジュラスの経済はあまりにも貧弱だった

国内に貧困の波が押し寄せるなかで、1998年に起きたハリケーンによる災害で農家が全滅2009年には軍事クーデターが起きて経済が停滞結果的に人口の70%が貧困にあえぎ、生活が困難な状態になった

ホンジュラスは国土が小さく治安にも問題があるため、外資企業は一切進出してこない。技術がないため国内産業も発達せず、国自体が貧困から抜け出す手段を持たないのが現状。こうして貧困の連鎖が続いていく。

サンペドロスーラの生活と犯罪


by USASOC News Service

国民全体が貧困にあえぐ中で、国内第二の都市サンペドロスーラは荒廃していく。金目当ての強盗などは日常茶飯事になり、汚職にまみれた警察は治安の維持を放棄していく。そこで力を付けていくのがギャングだ。

ホンジュラスのギャングは「マラス」と呼ばれ、彼らは銃器の使用を一切躊躇しない。強盗する際はほぼ必ず銃器を持っており、相手が抵抗すれば射殺する。時には抵抗しない相手も一応殺しておくこともある。彼らに命の尊さなんて概念はない。

マラスの重要な資金源はドラッグだ。特にサンペドロスーラはドラッグ輸送の拠点となっていることから、ギャング同士の抗争が絶えない。彼らは日中でも市街で銃撃戦を繰り広げ、流れ弾で関係のない市民がバタバタと死んでいく。

ギャングは市内の店や住宅に「みかじめ料(用心棒の代金)」を要求し、支払いを拒んだ場合も即射殺。漫画の世界のように人が簡単に殺されていくのがサンペドロスーラだ。

結果的に2017年のホンジュラス国内での殺人死者数は3800人。1日あたり11人が殺されているという驚愕の数字。人口10万人あたりの殺人死者数は43人だ。

驚くことにこの数字でも、最悪の2011年頃から比べれば半減している。2011年の10万人当たり86人が殺された。ちなみに日本の殺人死者数は10万人当たり0.28人。日本の400倍の確率で殺人に合うということだ。

荒廃しきったサンペドロスーラに観光客が立ち入ればどうなるか。単に強盗に財布やスマホを奪われるだけなら運が本当に良いと思う。ついでに思いつきで射殺される可能性も高いし、安易な渡航は絶対に避けたほうがいい。

ホンジュラスの貧困を描いた映画

ホンジュラスの貧困の実態に触れるなら「闇の列車、光の旅」という映画が秀逸だ。ホンジュラスでの貧しく危険な暮らしから、アメリカを目指す不法移民のストーリーになっている。フィクションながらもドキュメンタリー作品のような臨場感に満ちて、最後まで引き込まれるようにしてみてしまう。

この映画を見れば、アメリカの移民排除政策などの意味も別の角度から見られるようになるだろう。一面的な正義では世界は決して救えない。