スペイン最恐の麻薬スラム街カニャダレアルの実情を知る

ヨーロッパの中でも温暖で治安も良く、旅行者に人気の国とされるスペイン。確かに豊かな側面があるのも事実だが、その裏側には大きな貧困問題が存在する。普通の旅行者からは想像もできない世界もスペインの中に広がっているのだ。

首都マドリード郊外にあるカニャダレアルは、スペインのスラム街でも最恐クラスの凶悪な場所。その実情と歴史に迫っていこう。

カニャダレアルの成り立ち


by M.Peinado

カニャダレアルをはじめ、スペインのスラムの歴史は比較的浅いことが多い。2010年以降の世界金融危機により、スペインの若年層失業率は50%超えという驚異の水準を記録した。二人に1人が働きたいのに仕事がないのだ。

日本なら無職の若者は実家に引きこもったりするが、スペインにそのような文化はない。成人は独立するのが当たり前なので、どれだけ酷い生活に陥っても親元に帰ることはない。

若者は過酷な現状から一時的にでも目をそらすため、大麻やドラッグに手を染めるようになる。同時期に増えてきたアフリカからの難民と共に、スペインにはドラッグも大量に流入していた。結果的に麻薬中毒者が激増したのだ。

彼らホームレスの若者は観光客が闊歩する中心地から排除され、郊外の空き地などを不法占拠する形で生活を始める。カニャダレアルの成り立ちもそんなところだ

カニャダレアルの生活


by DiAnn L’Roy

「クレイジージャーニー」という番組で丸山ゴンザレスさんが訪れたカニャダレアル。そこはセクション1~6に分かれており、数字が大きくなるにつれ危険度が増すという漫画のような世界。

実際にセクション1の住民は2以上には近寄らず、2の住民は3以上に立ち寄らないという。生活実態もセクション数が増すにつれ酷いものになっていく。

まず不法占拠を続ける彼らに真っ当な公共サービスは受けられない。ゴミの収集など当然無いので、街にゴミが散乱する。公衆衛生なんて概念すらなく、上下水道もまともに通っていない。そのため悪臭が立ち込めて、ゴミ箱の中で生活しているようだ。

特にセクション6は麻薬中毒者の温床になっており、カニャダレアル内でも断トツで治安が悪い。半ば公然と麻薬の取引が行われるため、広域から車が出入りして物騒な男たちが集まるのだ。

こんな場所に行ってみたいという旅行者は存在しないと思うが、間違っても近づこうとはしないでほしい。麻薬中毒者が取る行動は予想できない部分が多く、強盗が勢いで殺人に変わることもある。

カニャダレアル内には警察も滅多に立ち入らないため、現地の治安は大衆によって守られている。つまり大衆に悪と決めつけられれば、その場で死刑が決定してリンチ殺人に合う可能性もあるのだ。

特に興味本位で麻薬中毒者の写真を撮るなどあり得ない危険行為。いつ死刑判決を受けてもおかしくないので、それだけはやめたほうがいい。

カニャダレアルを描いた映画はない

比較的歴史の浅いカニャダレアルは、未だ映画の舞台になることはない。貧困と麻薬の連鎖は人知れずに続いていき、人々の苦しみは受け継がれる。ここに救いの手が差し伸べられる日は来るのだろうか。

スペインの貧困や差別を描いた映画なら、2015年の「マーシュランド」が秀逸だ。フィクション作品なので誇張表現もあるだろうが、そこで描かれる空気感がリアルそのもの。ぜひチェックしてみてほしい。